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「リフィル処方箋」とは? (2022年8月)

こんにちは。広報委員会の市瀬です。

皆さんは「リフィル処方箋」という言葉を聞いたことはありますか?

リフィル処方箋とは、令和4年(2022年)4月から導入された、新しい処方箋の様式になります。

しかし、具体的にどういった仕組みなのかをきちんと理解している方は、意外と少ないのではないでしょうか?今回は、リフィル処方箋の仕組みや特徴について解説していきます。


1. リフィル処方箋とは?


リフィル処方箋とは、1枚の処方箋で最大3回まで繰り返し利用することの出来る処方箋のことを言います。これによって、病院で医師の診察を受けなくても、薬局でお薬を受け取ることが可能になります。

2. 分割調剤との違いは?


実は2016年の診療報酬改定で、「分割調剤」というものが実施されていました。

この制度も1回の診察に対し、最大3回に分けて調剤を行うことが出来る制度です。この概要だけでは、「リフィル処方箋と同じじゃないの?」と思われてしまいそうですが、それぞれ目的や運用方法に違いがあります。

分割調剤の目的としては、①薬剤の長期保存が困難なため、②ジェネリック医薬品に不安がありお試し期間として、③薬剤師のサポートが必要であると医師が判断したとき等に行われます。

それに対しリフィル処方箋は、状態が安定していると医師が判断した慢性疾患の患者様に発行することが出来ます。

また分割調剤の場合、処方箋が分割指示に関わる処方箋(別紙)+分割した枚数(最大3枚)を一式として発行され、不備・不足があると受け付けられません。薬剤師も、2回目以降の調剤では患者様の経過について、医師へ服薬情報について報告をする必要があります。

それに対しリフィル処方箋の場合、処方箋の枚数としては1枚で済みます。

なお、いずれも原則として前回調剤日を起点として次回調剤予定日の前後7日以内が有効期限であることに注意しましょう。

3. リフィル処方箋のメリット・デメリット


それでは、リフィル処方箋を導入した際に起こり得るメリット・デメリットについて、説明します。

メリットとしては、患者さんが病院に行く手間を省けることで、負担を軽減出来るという点が挙げられます。それに伴い、医療費を減らすことが出来るのも大きな点でしょう。

また、リフィル処方箋により薬剤師業務の発展が期待されます。

患者さんの症状経過・お薬の服用状況・副作用の有無等を薬剤師がメインとなって確認していくため、責任は重大です。そういった意識を持って、必要に応じて医師へ情報提供を行う等、業務に取り組んで行かなければなりません。

反面デメリットとしては、医師が患者さんの状態を確認する機会が失われてしまう点が挙げられます。

従来は患者さんの病状を医師と薬剤師でダブルチェックしていましたが、リフィル処方箋の場合は薬剤師のみのチェックになります。そのため、患者さんの状態が変化しているにもかかわらず、漫然と薬剤を投与し続けた結果、健康被害を引き起こしている可能性も無視出来ません。

こういった事態を防ぐためにも、メリットの点でも述べたとおり、薬剤師は責任を持って業務に取り組む必要があります。

 リフィル処方箋のメリット
  ・患者さんの通院の手間・負担を軽減出来る。それにより医療費の削減が期待される。
  ・医療機関受診時の新型コロナウイルス感染のリスクを抑えることが出来る。
  ・医師は状態が安定していない患者様に時間をかけて治療することが出来る。
  ・薬剤師の丁寧な服薬支援等、業務の発展に繋がる。 
 リフィル処方箋のデメリット
  ・受診回数減少による、医療機関の減収(患者様にとって医療費削減はメリットでもありますが…)。
  ・医師が患者さんの状態を確認出来ず、病状の悪化が見過ごされる可能性がある。

4. おわりに


今回はリフィル処方箋の仕組みや特徴について、説明させていただきました。

リフィル処方箋により、薬剤師の業務・責任は増大していくことになります。薬剤師としての職能を発揮するチャンスである反面、責任を果たせなければ患者さんに悪影響を及ぼす恐れがあります。

今後リフィル処方箋が普及していくかどうかは、薬剤師の技量や能力にかかっているといっても過言ではないかもしれません。