· 

痛風に気を付けよう 〜病気シリーズ〜 (2023年1月)

痛風とは


血液中の尿酸値が7mg/dL以上になることを、高尿酸血症といいます。

尿酸とは、核酸(DNA、RNA)や生体のエネルギー源であるアデノシン三リン酸などのプリン体の最終代謝物です。プリン体をたくさん含む肉類などの過剰摂取や、核酸の分解の亢進などが原因となります。

尿酸は水に溶けにくく、ある程度以上になると結晶化しやすくなります。結晶化した尿酸が炎症を引き起こし痛みをもたらす疾患のことを、痛風といいます。

 

尿酸をためないためには?

尿酸は酸性側に傾くと溶解度が低下し、結晶化する性質があります。そのため、尿をアルカリ化する食品が痛風の予防に効果的と言われています。

 

痛風予防に効果的な食品は?

上記に挙げられた尿をアルカリ化する食品としては、クエン酸を含有している食品があります。具体的には、梅干し・柑橘系フルーツなどに多く含まれます。もろみ酢などの健康酢も良いと言われています。

海藻類やもやし・ジャガイモ・トマトなどの野菜類は、アルカリ化のみならず不足しがちなビタミン・ミネラル・食物繊維をしっかり補えるという利点もあります。

また、尿酸の排泄を良くするために水分を多く摂ることや、プリン体の少ない食品を摂ることも重要です。

 

アルコールについて

アルコールにもプリン体が含まれています。1日あたり日本酒1合、ビール1杯程度に抑えるようにしましょう。

お酒のつまみになる動物性食品(レバーなどの内蔵類、肉類、魚類)はプリン体が多く含まれているので、お酒と併せて注意が必要です。

治療薬について


高尿酸血症を治療する薬剤は、主に2種類のタイプがあります。

尿酸排泄促進型:尿酸を体内から排泄するのを助ける薬。尿酸排泄が悪い患者様に使われます。

尿酸合成抑制型:尿酸の生成自体を抑える薬。過剰に尿酸が作られている患者様に使われます。

 

ただし、痛風発作が起こっている状態で急激に尿酸値を変動させると、発作を更に悪化させてしまうことがあります。なのでまずはNSAIDsなどで痛み・炎症を抑えてから治療を開始します。

まとめ


痛風を予防するために、

・プリン体が蓄積しないように、尿をアルカリ化する食品を摂る。

・プリン体が少ない食品を食事に取り入れる。

・水分は1日2L以上を目安に摂取する。

 (腎臓・心臓が悪い方など水分制限されている方は、医師に相談しましょう)

・お酒、おつまみの組み合わせに注意する。


国家試験問題に挑戦しよう!!


106回 薬剤師国家試験

 問188 高尿酸血症及び痛風の病体と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

① 痛風発作は、関節内に既出した尿酸塩結晶が引き起こす急性関節炎発作である。

② 高尿酸血症の病型としては、尿酸産生過剰型が多い。

③ 痛風発作時には、直ちにアロプリノールを用いる。

④ 痛風間欠期には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられる。

⑤ 尿路結石がある場合は、尿酸排泄促進薬を用いない。

第106回 薬剤師国家試験. 問188 正答…①⑤